ハーンの掌編、浦島が一瞬で年老いるという奇跡、泉が一瞬で若返るという奇跡、の組み合わせも愉快です。
浦島伝説を改めて読むと、これは不思議な伝承だと、改めて感じました。
基本的には、人間が天人と交わる話です。けれども、人間と天人の交わりという伝承では、例えば、「羽衣伝説」のように、天人が此岸に降臨して来て人間と交わる、という型を、まず、思い浮かべます。浦島では、浦島子(浦島太郎)が、天界( 異界 )へ赴きます。
それでは、人間が天界( 異界 )へ赴く伝説では、例えば、「胡蝶の夢」のように、異界で一生を過ごした後、目が覚めて、此岸に戻ってみると、一晩しか経っていなかった、という型の伝承があります。浦島では、異界では三年で、此岸では三百年が経っていました。
開けてはいけない秘密のものも、家の奥にあることが多いのですが、浦島では、島子に手渡されています。
伝承・神話では、様々な型があるので、浦島のような型もあるのでしょうけれど。なんだか、何もかもが反対に創られているように思われました。
ハーンが、三百年を四百年に変えたのは、ハーンの持っている、アイルランドかギリシャの伝説の時間感覚なのでしょうか、あるいは、記紀の時代と草子の時代との差なのか知ら。
研究書がないか知らと、web検索して見ました。
『浦島伝説の研究』林晃平 おうふう。『浦島太郎の文学史』三浦佑之 五柳書院 がありました。
『浦島太郎の文学史』は、三浦教授のホームページがありました。
浦島説話 三浦佑之 宣伝版 教授の研究では、7世紀後半の官人・伊預部馬養 の作品が原型であるとのことです。
九州( 現中国 )の奇伝物語を模範に創作されたものではないかと。
松岡正剛 氏の千夜千冊に取り上げられています。
2002年10月09日『浦島太郎の文学史』 さて、また、「Η ΠΗΓΗΣ ΤΗΣ ΝΙΟΤΗΣ」で、web検索をしましたら、
『The Fountain』と言う映画がありました。2006年の作品。
『The Fountain』on IMDb『The Fountain』on Apple Trailers
posted by kyotakaba at 11:44|
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日記
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