2006年02月05日

転がる石に苔は生えない

 ギリシャ名言集から、始めに採り上げるのには、やはり、よく知った文がいいので、これにします。
 A rolling stone gathers no moss.
柳沼先生の岩波文庫『名言集』には、もともとギリシャの諺で、それがラテン語に訳されて、英語になったもの、と説明がされています。ギリシャ語の前があるのかないのかは、わかりませんけど。
 これを採り上げた理由は、他にもあります。それは、連体形の表現です。「転がる石」という、日本語の連体形の表現を現代ギリシャ語では、どうするのか、という疑問があったからです。英語では、現在分詞が連体形の表現をしています。ところが、僕の覚えた限りの現代ギリシャ語では、現在分詞は、方法や、理由、時間、前提の副文を主文に加える表現だけで、体言に続くような用法はないのです。
 機械翻訳では、
Μια κυλωνταs πετρα δεν συλλεγει κανενα βρυο.
と、-νταs の現在分詞を名詞の前に置いていますけれど、たぶん、正しくないのだと思います。
 『名言集』には、古典語が示されています。
λιθοs κυλινδομενοs το φυκοs ου ποιει.
 単語も現代語と違いますけれど、おおよそ分かります。
「石」は、現代語では、πετρα が一般的ですけれど、λιθοs も使います。
φυκοs は、φυκια 「海藻」が近いです。
ποιω は、現代語では使いませんけれど、「作る」という語で、現代語にも派生語が多くあります。
「転がる」という語は、現代では、κυλω です。古典語も語頭は似ているので、直接、つながっている語なのでしょう。(現代語では、でも、転がすが第一義。)
 さて、僕は古典語の文法をまったく知りません。ですので、-μενοs の語尾の動詞の用法は分かりません。けれど、現代語にも、同じ-μενοs 語尾の動詞の語尾はあります。受動完了分詞です。これは、形容詞化されて、連体形の表現に使われます。
でも、それは「〜された」という意味です。κυλω ならば、中動相の受動態は、κυλιεμαι で、その分詞形は κυλημενοs です。「転がされた」という意味になるのだと思います。
(まあ、もともと、石が自分で転ぶこともないでしょうけど)
それで、古典語の意味を、分詞を現在の用法と同じに考えると、
「転がされた石は、海藻を作らない。」になるのでしょうか?

 ともかく、「転がる」を「転がされた」に書き換えるのならば、現代語での作文が、僕にも出来そうです。
 Η κυλημενη πετρα δεν συλλεγει κανενα βρυο.
機械翻訳の文を元にしました。
συλλεγω は、「収集する」で、gather の対応ですね。
不定冠詞の Μια は、英語の冠詞 a を、機械翻訳したものです。冠詞 Η の方がいいと思います。
ποιω を考えるのならば、違う語の方がよさそうですけど。
 Η κυλημενη πετρα δεν γεννα κανενα βρυο.
とか。


 で、結局、連体形の表現は、分かりません…。関係代名詞を使うしか…。
Η πετρα που κυλουσε δεν γεννα κανενα βρυο.
パラタティコスを使うと、ずっと転がっていると言う感じになるかしら?






02月13日追記
ラテン語では、Publilius Syrus の格言集にあるのかしら?

PVBLILIVS SYRVS SENTENTIAE
posted by kyotakaba at 17:23| Comment(0) | 名言集から | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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